2006年08月31日

ワンセンテンスの願いと、自分勝手な祈り。


昔から本を読むのは決まっていつも電車の中。
私は多分、思ったよりも多くのことを、
この中で学んできた気がします。

公共の場なのに、なぜかとても私的な空間。
本を片手に電車に乗るのは、私の好きな時間です。

ただこんなに好きな時間でも、
悩みが深いときは、本のページはめくれない。
大事なミーティングの前は、本のページはめくれない。
もちろん寝不足だと、本のページはめくれない。

でも、今日、本のページがめくれなくなってしまったのは
こんな理由からでした。




今日は都内で打ち合わせ。
帰りは横浜駅で乗り換えです。
朝からずっと立ちっぱなしでとても疲れていたので、
ホームに入ってくる横須賀線に向かって
「座りたい座りたい座りたい座りたい…」
と、呪いにも近いガン飛ばし。

睨みが効いたのか、入ってくる電車には
空席がちらほらと目に付き、無事座ることができました。


そしてやっと一息ついて、読みかけの本を開きかけたら、
隣の男の子の携帯画面が飛び込んできたのです。

それは5行にも満たない、短い内容でした。


「電話かぁ。それだとそっこうで別れ話になりそうなんだよね。
俺まだ横浜だし。」



ディープな話をしてるじゃないか!と思い、その後
なんとなく隣の彼に注意がいってしまいました。

年にして15、6歳。部活帰りなのか、時間も遅かったのに制服を着て
スポーツバッグを持っていました。

メール送信後は、「はぁ」とため息をついたり、
寝てるのかと思うほど体を斜めにしてみたり、
何度も何度もメール問い合わせボタンを押しまくったり、
とにかくハタからみていても、
彼のもどかしさと焦燥感が伝わってくるようでした。


メールにこめられたワンセンテンスといってもいいくらいの
短い、そして切実な願いに、彼の生活を想います。

そして同時に、15歳だった頃の自分を想いました。
あの頃は確かに「誰が誰を好きか」ということがとても大きな意味を持っていたし、
「彼は誰を好きなのか」ということ以上に私を揺るがすものはなかった気がします。
ちなみにその頃好きだった彼は、硬派で無愛想な野球部の問題児で、
中学2年生からずっと好きだったのに、ついに卒業になっても
「一緒に写真をとって」の一言さえ言えず
私は撮りっきりカメラ片手にアタフタとするばかりで
そのまま永久に別れてしまいました。

それを単に「若さ」といった安易な言葉で
片付けてしまうことはきっとできない。


いくつになっても人は人を好きになるものだけど、
電車で隣り合わせたこの彼が、同じため息を、同じ思いでつける期間は、
人生の中では、そんなに長くはないんじゃないだろうか。

「別れ話」を話題にしなければいけないことは
本当に肩を落としてしまう出来事なのだろうけれど、
それでも、そんな風にして悩む彼を、
なんだか無償に愛しいと思ってしまいました。

これから彼がたくさんの恋をして、もしかしたらそれと同じくらい
たくさんの別れを経験して、そんなかけがえのない想いの全てが、
彼の礎となればいいと心から思った。


そんなわけで、この結末は私には分かりようがないけれど、
この先、世界が彼に優しいものでありますようにと、
いつまでも進まない本のページを何度も目でおいつつ、
一人、自分勝手な祈りを捧げる夏の終わりの夜でした。


at 02:42│Comments(2)

この記事へのコメント

1. Posted by 江原   2006年08月31日 23:19
とか言って、
若い男の子が可愛かったんじゃないの^^
2. Posted by 桂   2006年09月01日 11:52
いやいや、若い男の子本当にいいですよね。
青春のため息をついている姿が
本当にかわいかったですよ。笑

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